1.「おとなり」とのトラブルを防ぐための、基本ルール。

住まいというものは、ごく例外を除きご近所の敷地、家、それに生活と接触しているもの。それだけに、外構、ガーデン、エクステリアの工事を行うときの、ごく基本的なルールは知っておきたいものです。

特に、左・右・奥の土地が接している「おとなり」との境界については、事前の打ち合わせで、トラブルが起こらないよう、注意したいものです。

土地の境界部分を「隣地境界」と言いますが、ここにフェンスや塀を設け、区切りをはっきりさせる場合は、その費用の負担の仕方は条件により異なります。

まず、第一番目は「敷地に段差がない場合」。この場合は一般的には境界線の中央に仕切りを設け、費用は折半します。ただし、デザイン・内容等で両者の意見が一致しないと、費用分担の話はまとまりません。

この場合は、工事希望者側が自分の敷地内で費用を全額負担し、フェンス等を設けることになります。自己負担で行うため、どのような形態にするかは自由ですが、日照権、景観等の間接的問題もありますので、一応お隣に内容を伝え、了解を取っておくべきでしょう。

「隣地境界」に段差がある場合は、一般的には上の段の土地所有者が自分の敷地内で費用を負担し、工事を行います。当然、費用負担し自分の土地を使う以上、どのような形にするかは自由ですが、やはりおとなりに概要を伝え、了解を取っておくべきでしょう。

また、「隣地境界」に無関係な工事でも、少し大がかりなものなら、騒音や職人の出入り、資材搬入等の問題もあり、周辺の住民の方には了解を得ておくべきでしょう。

法的な問題、おとなりとの交渉などが必要でない場合は、工事会社が代行し、それを行ってももちろんかまいません。しかし、そうでない場合は、やはり、お客様に直接声をかけていただくことが大切です。

2.公共物等の関連工事に関する基本ルール。

ガーデン、エクステリア、外構、等に関する工事を行うとき、公共スペースも一部やり替えなければならない場合があります。例えば、ガレージを作るため、歩道を低くしなければならない場合等。

この様な場合は、勝手に工事を行うことは、もちろん出来ません。役所に許可を取る必要があります。ただ、殆どは工事会社が責任を持って行いますので、心配はありません。

しかし、どこをどのように処理するかは、お客様自身が知っておく必要がありますので、確認だけはしておいてください。電柱などの、半公共物についても同じです。

ガーデン、エクステリア、外構、などは、建築、土木などの法律に従い、つくられなければなりません。当然のことで、難しいようですが、この点は工事会社が知っていますので、実際には「お任せ」で結構です。

ただ、それとは別に、市町村の条例、地域の特約次項があり、基本法律にプラスした規定がある場合があります。 例えば、ブロック塀は駄目で生垣にしなければならないとか、特種な造成用の資材を使わないといけないとか・・・。

ただし、この場合は殆ど新しい団地に限定されています。従って、家や土地を購入されたとき、その規定がお客様に伝えられているはずです。

この様な限定的な決まりに付いては、工事会社が知らない場合もありますので、お客様からその内容をあらかじめ伝えておいて下さい。 新興住宅地にほぼ限定されていますが、ご注意ください。

3.ローンの間違った知識で、損をすることがないように・・・。

ローンは大きく2つに大別されることをご存じですか。1つは、工事を行う会社にお金が振り込まれる「信販ローン」。もう1つは、お客様の口座に銀行等からお金が振り込まれる、「一般のローン」です。

信販ローンは「おまかせ」でラクだけど発注先の変更はできない

1つ目のローンは、お客様は所定の簡単な申し込み用紙に記入するだけで、その他の手続きはすべて工事を行う会社が行います。また、この場合は会社側があらかじめ契約しているローン会社のものしか使用出来ず、工事そのものの発注も他の会社にすることは出来ません。

「信販ローン」は一般的には、手続きが簡単(通常、即日か翌日に結論)、やや金利が高い、お金は会社側に入り支払いはお客様の口座から毎月引き落とし、指定工事会社以外への発注は出来ない、比較的少額の物件を主力対象としている・・・等を特色としてあげることが出来ます。

ただ、ボーナス払い、3ヶ月後の支払い(スキップ)、等にも使え、この場合大部分は工事会社側が金利を負担しますので、単なる分割だけでなく、有効に活用することも出来ます。

ただし、世間を騒がせているように、悪徳企業が無理に商品を売り込むことに使う場合もあるので、注意してください。

信販ローン

  • 工事会社の指定ローンに限定
  • お金は工事会社に直接入る
  • 手続きが簡単
  • 発注先の変更はできない
  • ボーナス払いなどの有効活用も

銀行ローンなどは、お客様が発注企業を自由に選べる

2つ目の「一般のローン」とは、「信販ローン」と異なり、基本的にはお客様の口座にお金が入金されます。銀行が直接お金を出すもの、銀行は通すが関連の保証会社を通すもの、最近は減少気味ですが、銀行は窓口だけで公共のもの、等がありますが、実際にその差は重要ではありません。
お客様の条件に合わせ、金利、手続きが簡単・難しい、などを調べ、最も良いと思われるものを、使っていただければよいのです。

それよりも重要なことは、これら「一般のローン」契約者はあくまでお客様単独であると言うこと。従って、どの会社が「見積書」などの資料を揃えようと、発注先はあくまで自由に選べると言うことです。もちろん、一部だけを他の会社に分離し発注することも可能です。

特に、新築時に良くあるケースですが、仮に2,000万円の住宅ローンをA住宅メーカーの見積書で申請するとします。その見積書の範囲は、住宅本体だけでなく、照明器具、インテリア関係、外構にまで及び、余裕のある金額を借り入れ出来るようになっていた。しかし、照明器具、カーテン、外構は他に気に入った会社があるので、住宅本体のみをA社に発注した。しかし、資料作成の関係で、部分的に他の会社へ発注することに難色を示した。

この場合、A社ができるだけすべてを受注したいのは当然ですが、あくまでローン契約者は「お客様単独」。当然、外構などの一部を他の会社に発注するのも自由です。あまり、強引なやり方でそれを阻止しようとするようなら、A社に問題があり、毅然とした態度を示してください。

ただ、資料を作るなど、A社の努力は認めるべきで、対応に問題がなければ住宅本体に関しては優先する、と言った考え方は大切だと思います

一般的なローンでも、お客様の承認印をいただき、代行先として会社側の口座にお金が振り込まれるようにする場合もありますが、あまりお勧めできるものではありません。そして、この場合も契約はお客様と金融機関で、基本的条件は変わりません。

余談ですが、一般的なローンでも、新築そのものを中止するなど、全面キャンセルになる場合は、担保設定の絡み等で、ローンそのものが取り消しとなるのが一般的です。

一般の住宅関連ローン

  • 金融機関等を自由に選べる
  • お金はお客様の口座に入るのが基本
  • 手続きは少し複雑
  • 発注先は自由に選択できる
  • 複数の会社に分離発注しても問題はない

4.他社の作った無料プランで、発注すると法律違反に・・・。

プラン、デザイン、図面の取り扱いに関しても間違いが目立ちます。

最も良くある例は、どこかの会社に、ガーデンや外構のプラン・図面の作成を依頼し、それを他の会社に持ち込み見積もりを取る。相見積もりで安ければ、そこへ発注すると言うケース。しかし、これは法律に違反する行為で、争いになればお客様が罰せられることになります。これは、既に裁判の判例でも実証されている事実です。

受注する側の会社にしても、他社のプランで見積もり・受注するなど常識外。そのような要望に応じるような会社であれば、その時点でレベルの低さを疑ってみるべきです。

これは、プラン、デザイン、図面等は、製作者への保護権が法律的に認められているためで、お客様が他社に発注される場合は、製作者(会社)から有料で買い取ってからでなければなりません。

実際には、法的な問題となることが殆ど無いため、もめることは希ですが、お互いにルールを守ってこそ、良い作品が出来上がるのではないでしょうか。

一方、「見積もり無料」という言葉も良く耳にしますが、「見積もり」に関して会社がお金をいただくことはできません。プラン作成や設計活動をセットとして考え、使われていると思われますが、適切な表現とは言えません。

5.安全、安心であることがすべての前提

プランやデザインの問題以前に、ガーデンやエクステリアを考えるとき、安全であり、安心であることが大切です。そして、この安全と安心の最も基本となるのが、「基礎」と「土留め」と「土間・塀のベース」の3つ。 のっけから、頭の痛くなるような言葉が並びましたが、専門的知識に触れようと言うのではありません。工事を依頼する会社に以下の3点を確認し、安全で安心な施工を行っているか、チェックしておいて下さい。

どんな基礎を作るか資料をもらい、その理由を説明してもらおう。

まずは「基礎」。通常、塀などのベースには「ブロック」が一番よく使われます。その他、型を作りコンクリートを流し込んだもの、レンガ、などが主な物。つまり、塀の材料は殆どが重くて丈夫。耐久性にも優れていますが、それだけにそれを支える、しっかりとした「基礎」が必要となります。ただ、この「基礎」は一般には地面の中に埋め込まれてしまい、見えなくなってしまいます。

そこで、コストを下げるため、つい「手抜き」が行われがち。それを防ぐためには、詳細は分からなくても、どのような形の「基礎」になっているか、図面などの資料を必ず付けてもらって、確認をしておいて下さい。

もちろん、背の高い塀にはしっかりとした基礎、ごく背の低い塀には簡単な基礎でOK。いずれにしても、しっかりとした資料と説明をしてもらっておくことが大切です。それを拒むようで有れば、その会社はもちろん要注意と言うことになります。

土留めの部分は特にどのようになるか、しっかり確認。

次に「土留め」。これは、片方が土に埋まっており、もう片方が地上に出ている塀の部分のこと。一般的には、宅地側の方が道路側より土地が高くなっており、この2つの段差を止めている部分のことです。当然、この部分には土の圧力が掛かるし、土に染み込んだ水が塀を浸食します。両側とも、地上に出ている塀の部分より、はるかに丈夫な材料と、施工方法が必要となるわけです。

この「土留め」に関しても、正しいチェックを行うには、専門的な知識が必要です。しかし、そんなことは不可能で、「基礎」と同様、図面やその他の資料を出してもらい、同時にどのような対応をしたか、しっかりと説明をしてもらって下さい。

それを、親切に行ってくれる会社なら安心だし、万一、後日現物と違っていることが分かった場合も、やり直し・補強等を要求することが出来ます。そもそも、資料提示としっかり説明を行ってくれるところなら、手抜きの危険性も極めて少なくなります。

門柱、塀、土間のベースの施工方法をしっかり聞いておく。

3つ目のポイントは、主要なベース部分の「(補強)構造」。具体的には、門柱、塀、土間の3ヶ所の基本構造を、確かめておくことが特に大切です。これらに対しては、表面の仕上げばかりが気に掛かりますが、実際には基本的な工事方法、補強方法を確認しておくことの方が、はるかに大切です。なぜなら、表面の仕上げが例え悪くても、簡単に補修できる場合が多いが、ベースが悪いと、後日取り返しの付かないひび割れや歪みを生じる場合があるからです。しかも、これまた見えない部分だけに、責任所在に対し、水掛け論になってしまう危険性が高いからです。

まず、門柱と塀ですが、一番多く使われるブロックの場合、どのような材料を使うか、何センチの厚みか、補強ポイントとなる鉄筋をどのように入れるか、しっかりと確認しておいて下さい。レンガやコンクリート打ちに関してもほぼ同じです。

土間に関しては、土やその表面をどのように補強するか、鉄筋(メッシュと言われる鉄筋の網を入れる場合が多い)をどう入れるか、厚さをどの程度にするかを、確認しておいて下さい。

ここでも、専門知識が無くても結構です。内容がよく分かる資料と、説明を求めておいて下さい。そして、それをしっかり行ってくれる会社なら、「基礎」や「土留め」同様、まず安心です。施工方法は、現場条件、地域により異なるので、工事会社に具体的に施工内容を確認しておくことが大切。

地域に密着したショップでないと、対応は困難。

その他、どの部分かにかかわらず、しっかりとした構造、強度、耐久性を持ったものであることが大切であることは、言うまでもありません。これに、的確な機能性、満足のいくデザインが加わり、本当に価値ある作品となります。
ただ、どのようにすぐれたものであれ、生活していく過程では問題が発生する危険性は、絶えずあります。その時、地域に密着した信頼性の高いショップ(会社)でないと、規模が大きい企業と言うだけではきめ細かな対応は不可能です。この点にもご注意下さい。